2週間ほど前に、ペンギンハウス20周年記念・仲田修子&ミッドナイト・スペシャルのライブがありましたが、今夜10月7日は、厳密な意味の20周年パーティー・ライブ。
ペンギン・マスターがお薦めの、ゴキゲンな3つのバンドが店の20歳を祝いました。もちろんその中に、ミッドナイト・スペシャルも入っています。今回は、有海治雄さんのピアノ&アコースティック・ギターと、瀬山研二さんのパーカッションという、アンプラグド・ライブの編成です。
競演したバンド、一組目は『THE GAMES』。
「20年前はまだ音楽をやっていなかった」という若い皆さんです。若さっていいなあという熱いライブでした。
もう一組は『Go Go マーチャンズ!』。
こちらは、「歳を食ってても(失礼)、不良ならカッコイイ」と思わせるバンド。乗りのいいファンクナンバーで客席を湧かせます。
そして、お客達のざわめきの中、有海さんがピアノの前に座りました。マスターの紹介で、渋いグレイブルーのコートを着た修子さんがステージに進み出ます。
厳かにピアノが始まり、『アメージング・グレイス』。客席が一気に息を飲みました。空気がぴりりと締まり、前のめりになる人、指を組んで聞きいる人。一瞬で修子さんのペースでした。
一曲歌い終え、コートを脱ぎさると、下は黒の妖艶なドレス。襟元と手首のゴージャスなクリスタルも、照明に映えて綺麗です。
今夜は、他が乗りのいいエレキバンドだったので、「アコースティック編成で逃げました」と修子さんは笑っていましたが、それはかえって「敢えてこの編成で挑戦した」ように見えました。
20周年記念でないと聞けないような、開店時に修子さんご自身が床のフローリングを張った苦労話も披露しました。店の床は、今時無いようなしっかりした厚い板を張ったそうで、張る時は大変だったそうですが、百年は持つそうです。修子さんやこの店に通じる精神を聞いた気がしました。
アップテンポの曲では、バンド編成と遜色無いイイ感じの乗りでした。今夜は、ゴスペル、ブルース、黒人霊歌を中心に聞かせてくれるそうです。
圧巻だった、アカペラの『マザーレス・チャイルド』。マイクを握った腕を下げ、殆どノーマイクの状態でした。ペンギンのステージが、天井の高い聖堂に見えて来て、ステンドグラスから明りが洩れて来たような錯覚に襲われます。張りつめた空気はピリピリと窓を震わすようでした。聞いている私の皮膚も、ひやりと荘厳さに冷えていく感じでした。
その後は、テンポのある曲が続き、「さっき駆けつけた」板谷さんもゲストでステージに加わり、粋なブルースハープを聞かせてくれました。
客席が「ハレルヤ」を大声で繰り返すだけで「ゴスペル・コーラス」を実践できると修子さんが請け負い、修子さんのボーカルが絡んで、曲がかっこよく変わって行った『漕げよマイケル』。この時観客の私達は、「楽しみながら音楽的に高いものに肌で触れた」感じがしました。
今夜の修子さんは、たった一時間のライブで、さらりと、もの凄いものを色々と聞かせてくれた気がします。20年は大変長く貴重な年月ですが、この一時間も、凝縮された素晴らしい時間でした。
アンコールでは、マスターもコーラスに加わり、微笑ましくも暖かい雰囲気でライブは幕を閉じました。
ペンギンハウス、20周年、おめでとうございます。これからも、かっこいいライブハウスの最先端でがんばってください。
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