仲田修子&
MIDNIGHT SPECIAL

LIVE REPORT 013
at KOUENJI PENGUIN HOUSE, 27,May,2006
文:福娘 紅子
 最近インターネットで流行の成分分析風に言うと、仲田修子は110%の愛でできていると思う。

この夜は友人バンドだという『デンブシーロール』がゲストでした。八ヶ岳を中心に活躍するインディーズバンドは、高円寺では殆ど知名度は無いと思われます。観客がこの「初めまして」のバンドを
十分に楽しめるように、そして友人バンドがリラックスして演奏できるように。隅々まで心を配った、出演バンドにも観客にも愛を注いだステージでした。

 大粒の雨が降ったり止んだりという、不安定な天気。そろそろ梅雨の足音が聞こえそうな5月27日、ペンギンハウス。

今夜のライブは、一部が仲田修子&ミッドナイト・スペシャルで軽く5曲ほど演奏し、その後でデンプシーロールが1時間位のステージ、そして再度ミッドナイトが登場して締めるという変則構成でした。

 一部は、「いきなり降り出した雨の中で」で静かに始まりました。今夜の修子さんは白いTシャツに迷彩柄のベストというラフないでたち。メンバーもTシャツ系が多くて軽やかな印象です。

そして、ホラーシリーズ?「バンパイヤ・シャッフル」「ダンシング・ゾンビ」とコミカルな曲が続きます。「ワークソング」は深刻な曲ですが、今夜はさらりとした感じで、「高円寺オンマイマインド」でこの街を「愛のある街」と歌い、暖かい雰囲気で一部が終了しました。

 そして、ゲストのデンプシーロールが登場です。

カヴァーもオリジナルも、楽しい曲もじっくり聞かせる曲も。バンドの皆さんの人柄がにじみ出るすてきなステージでした。

ミッドナイトのようなバンドと二本立てでやるのは実は大変なプレッシャーだと思うのですが、変な気負いもなく、一緒にやれるという喜びが素直に伝わって来ました。だからと言って特別はしゃぐわけでもなく、たぶん「いつも通りに普通にいいライブをするだけさ」という印象で。それが修子さんの愛に応える冴えた方法であることを、このバンドは知っているようでした。大人だなあと思わせる、本物の大人のロックバンドでした。

 ボーカルのパーム鈴木氏は、八ヶ岳のライブハウス「パーム・スプリング」のマスターで、デンプシーロールはハウスバンドでもあるそうです。きっと湿度の低い澄んだ空気の中で、いかしたライブを繰り広げているのでしょう。

 再度登場したミッドナイトはアカペラコーラスで始まる「ミッドナイト・スペシャル」で、クール&ホットなステージを展開します。「Hey!ニイちゃん」ではやはり八ヶ岳在住のジミー矢島氏を迎え、
ブルースではハープのドラゴン板谷氏も参加。客席も段々とヒートアップして、スタンディングで踊る人や座ったままでも体を揺する人、人、人。ハードに乗せる曲が多かったわけではないのに、皆が楽しくて楽しくてたまらないという感じで踊っていました。

最高の熱気の中、アンコールの「ノーバディ・ノウズ・ザ・トラブル・アイヴ・シーン」では、一転して客席が息を飲みます。美しい景色を見つめ続ける時のように体温が下がり、感動が両肩に降りて
来ます。でも深刻になりすぎることなく、柔らかな気持ちでフィニッシュさせてくれました。

ミッドナイトは深い曲が多いので、ライブの後は精神が疲労することもあるのですが、今夜は気軽に楽しめて、でも構成や演出等がとても凝っていたことに気づかされました。それは大きな仕掛けで観客を驚かすびっくり箱ではなく、間に初めてのバンドが入るような変則の演奏形でも、観客が自然に楽しめるようにという細心の気配りでした。

高円寺を「愛のある街」と歌った愛溢れる仲田修子は、高円寺の女王なのです。打ち上げでビールを飲むのに座ったペンギンハウスの椅子は、ぎしぎしと軋むとしても、それは女王の玉座なのです。

 ライブレポート
 「MIDNIGHT SPECIAL」
  文:福娘紅子
  構成:ロウソサエティ企画室
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