仲田修子&
MIDNIGHT SPECIAL

LIVE REPORT 014
at KOUENJI PENGUIN HOUSE, 29,July,2006
文:福娘 紅子
 7月最後の土曜日。隅田川の夜空に華が咲いた夜に、高円寺の穴蔵ライブハウスではバースディ・キャンドルの灯火が輝きました。それは、仲田修子のバースディを祝う競演ミュージシャン達の火花であり、ファンの皆のあたたかい眼差しでした。甘ったるいデコレーション・ケーキの上で蝋臭く揺れる明かりとは一線を画していました。


 先日誕生日を迎えた修子さん。一部二部はミッドナイト・スペシャルの通常のライブ、三部は『奉納ライブ』と銘打ち、ゲスト達が修子さんに演奏を贈るという楽しい形式の夜でした。

一部でステージに登場した修子さんは、深紅のチャイナ衿のロングドレス姿。スリットがセクシーなチャイナドレスとは違う、裾まで届くかというゆったりした衣装です。
暗黒街の危険な店のオーナーのようなかっこいい妖しさでした。または、闇の中国魔術の教祖のような、謎の仙人のような。

ギターの有海さんが「この服が似合うのは修子さんしかいない」と言ったそうですが、一部のステージはまさに、このドレスにふさわしいものでした。ゆったりとした落ち着きがあって、それでいて潔くて緊張感があり、華やかで尖っている。

ブルースのスタンダードから、クラブの弾き語り時代に歌ったメロウなカバー曲、そしてドラムとボーカルだけで演奏された、鳥肌立つほどソリッドな『サマータイム』。こんな振幅の気分を、短
いライブ時間で客席に味合わせてしまうなんて、やはり修子さんは魔術を操ったのかもしれない。


 一部のステージは、『誕生日に赤い服を着る』までの修子さんの歌人生を凝縮したような密度の濃さでした。そして、アコースティックとエレキ両方のギターと、ピアノと、ハープと、コーラスとで関わった有海さんというミュージシャンの凄さや、ドラムだけで修子さんの歌とサシで勝負した『とんがり方では負けていない』瀬山さんや、ベースとキーボードのトナ&バービーの真摯で素直な音楽への姿勢や、色々なことに感動を貰ったステージでした。


 二部では「皆さんが踊ったりして楽しめるステージを」という通り、乗りのいいオリジナルやスタンダード・ブルースで楽しませてくれました。ゲストにギターのロク岩切さんとジミー矢島さん、ハープのドラゴン板谷さん。そしてアンコールは、修子さんの世界観そのままの『ローズ』に、みんながハンカチを握りしめました。予定になかった『アメージング・グレイス』も声の乱れが全く無く、私達に強いメッセージを残してくれました。

頬の涙が乾く間も無く、奉納ライブへ突入。バンドのメンバーやゲストの皆さんが、修子さんの好きな曲や修子さんにリクエストを貰った曲を演奏し、修子さ
んに捧げるというライブです。そして、私達観客も、それに便乗して楽しみました。演奏には遊びの要素が強く、ゆるい部分も含めてパーティーライブの面白さ満載でした。

 この時間帯はお店からサワー系飲み放題のサービスも有り、いい感じに酔っぱらってみんなで踊ったり歌ったり。二部で天使のような白いブラウスにお色直ししていた修子
さんが、満面の笑顔で、奉納ミュージシャンや乗り乗りの客席を見守っていたのが印象的でした。天使は時には踊りながら腕を振り上げ、粋なヤジを飛ばし、一番すてきな観客と化していました。


修子さん、お誕生日おめでとうございます。これからも唯一無二の仲田修子というジャンルの音楽で、私達を楽しませてください。いつまでも歌い続けてくれることを祈っています。

 ライブレポート
 「MIDNIGHT SPECIAL」
  文:福娘紅子
  構成:ロウソサエティ企画室
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